会長挨拶

第62期会長に就任して

第62期会長 松野 文俊

本学会は、1957年6月に設立された日本自動制御協会を前身とし、1988年にシステム制御情報学会と学会名が変更され、2016年には任意団体から一般社団法人へ移行し、現在に至っております。このような60年以上の歴史と伝統を持つ本学会の第62期会長をさせていただくことは、身に余る光栄であり、身が引き締まる思いでおります。今期は、法人化から2年が過ぎ、学会運営も定常状態に安定化してきており、これからの本学会のあり方を考え実行に移していく重要な時期であり、その使命と責務の重大さを痛感しております。

私の本学会との関係は、大学院時代にさかのぼります。私の最初の国際会議での発表は1985年のJapan-USA Flexible Automationであり、研究発表講演会は毎年のように参加させていただきました。その後、編集委員会委員、IFA研究分科会委員、ASME/ISCIE Int. Symposium on Flexible Automation 実行委員およびプログラム委員、調査研究交流会委員長、学術情報普及担当理事、企画担当理事などを経験し、2年前からは副会長として学会運営に携わってまいりました。このように、私は本学会に育てていただき、本学会の源流創立の一カ月後に生まれた私にとって、本学会の年輪が、私の人生の様でもあり、感慨深いものがあります。

本学会の目的は、「システム・制御およびこれらに関わる情報等に関する学術ならびに技術の進歩発達をはかり、もって人類社会の発展と安寧及び福祉の向上に貢献することである」と学会のHPにも記載されております。学術技術の進歩発展への貢献は学会の知的存在感であり、人類社会の発展と安寧及び福祉の向上への貢献は学会の社会的使命であります。さらに、研究者の集合体としての学会がもつ叡智を社会へ還元することは、学界と産業界の密な連携なくしては実現できるものではありません。

工学の使命の一つが『ものつくり』だとすると、「もの」をどのように作るかではなく、どのような「もの」をつくり、どのような「こと」を実現し、どのように「ひと」ひいては社会にインパクトを与えるのか、すなわち『ことつくり』『ひとつくり』をも考えることが求められているように思います。「ひと」や社会にどのようなインパクトを与えるかの目的から、どのような「こと」を実現すればいいかを考え、それを「もの」として具現化するということになり、まさに制御の本質である逆問題を扱うことになるのではないかと思います。学会の役割は、「ひと」「もの」「こと」を結びつける場および、それらの距離と時間をワープできる機会を提供することであると思います。これらを意識して、本年の研究発表講演会では、新しい試みをいくつか致しました。産業界のニーズと大学のシーズを紹介して、学界のもつ叡智を社会に還元する芽をつくるニーズ・シーズセションをTLOと協力して企画しました。それと連動する企業展示も併設しました。海外からの留学生も増加していますので、彼ら彼女たちが気楽に交流し情報交換できるような場を提供するためにインターナショナルセッションを設けました。また、学会の財政基盤をより強固なものにするために、参加費の大幅な見直しをさせていただきました。幸いなことに、393件のご講演を頂き、約670名のご参加を得ることができ、無事に会期を終えることができました。皆様のご尽力に感謝申し上げる次第です。今後も、本学会のあるべき姿を議論しながら、様々な試みをしていき、得られた成果を会員の皆様の活動にフィードバックし、学会の活性化に繋げて行ければと考えております。

冒頭に私が調査研究交流会に関与させていただいたと述べましたが、実はこの交流会は東日本大震災直後の2011年5月に設置を認めていただいた災害対応システム調査研究交流会です。学会も社会の情勢や期待に迅速に対応していく柔軟さが重要であり、その受け皿として調査研究交流会を設けており、学術交流基金の助成を受けて活動することができます。是非、若い研究者の方々には本交流会の制度を有効に活用していただき、新しい渦を起こしていただければと思います。

本学会は、一般社団法人として法人格を得たことによって、組織の基盤の強化と社会的信用の増大がはかられたわけですが、一方社会的責任として社会からの要求に応える責任をはじめ透明性の高い財務処理、知的財産権・知的所有権の適正な管理など様々な責務を果たさなければならなくなり、ともすれば学会からの管理が厳しくなりがちになってしまいます。これにより、本学会会員の自由闊達な活動に支障が出るようであってはいけません。あくまでも会員のための学会であるということを意識して、迅速性や柔軟性は確保しつつ、国際化や他学協会との連携や会員数の減少など、学会の抱える課題に対処していきたいと考えております。このために、理事・監事や各委員会の委員のみなさま、事務局の方々と協力しながら、微力ながら全力を尽くす所存でございます。是非会員の皆様のご理解とご支援を頂きますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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