会長挨拶

会長就任のご挨拶

第65期会長 五福 明夫(岡山大学)

本学会の会長への就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。本学会とは、前任校で原子力プラントの異常診断関係の研究を助手として実施していた時期に、研究上で役立つ知識や情報を得る手段として、当時ご指導をいただいていた恩師にシステムや制御関連の学会について相談したところ、本学会をご紹介いただきご縁が出来ました。そして、SCIでの発表や何編かの学術論文の論文誌への投稿を通して、研究者としての心構え・態度や論文の書き方に関して多くのことを本学会の先輩諸氏から学ばせていただきました。現本務校に異動後もSCI実行委員会地区委員をさせていただき、2007年度から2年間編集委員会委員としても本学会の活動のお手伝いをさせていただいておりました。従来、会長は関西の大学教員等から選出されることが慣例でありましたが、本学会の活動地区を広げる方針もあり、このような大役を任されたと認識しております。

さて、近年の技術のトレンドとして、人工知能(AI),ビッグデータに代表されるデータサイエンス、IOT、Society 5.0、サイバーフィジカル、社会技術システム、レジリエンスといったキーワードが様々なメディアで取り上げられていますように、本学会が対象としておりますシステム、制御、情報の工学分野の社会的重要性が一層高まっていると感じます。また、我が国が世界に先んじて超高齢化社会に突入し、団塊の世代の退職や少子化により、医療や介護に関する国の支出の増大や人手不足によるサービスの低下が問題となっており、生活支援ロボットに代表される様々な人間支援システムの実用化と普及が待たれています。昨年来、新型コロナウィルス感染症が世界的に蔓延し、短期間でワクチンが開発されてその接種が始まっていますが、感染力の高いとされる変異株も出現するなどまだまだ予断を許さない状況です。社会的動物である人類には「3密」を避けて社会活動を行わなければならないという試練が突きつけられており、生活スタイルや行動様式の変容が求められています。丁度、スマートフォン、タブレット端末、クラウドコンピューティングといった情報通信技術がかなり世の中に浸透してきていたことにより、在宅勤務、テレビ会議、遠隔授業が一気に普及し、これらを活用して必要最小限の社会的活動が行われている状況です。一方で、地球温暖化対策のためのCO2の排出削減も求められており、エネルギーを大量に消費して生活水準を維持することは困難となり、この観点においても生活スタイルの変革が求められています。このような生活スタイルの劇的な変化においては、様々なビジネスチャンスがあり、またそれを可能にする新しい技術革新も期待され、近未来の生活がどのように変化していくかが楽しみなところでもあります。

政府も科学技術基本法を科学技術・イノベーション基本法に改正して本年4月1日から施行し、本年度より第6期の科学技術・イノベーション基本計画の下で、科学技術の振興とイノベーションの創出に向けての政策を開始しています。ここでは、イノベーション力の強化により持続可能で強靭な社会への変革、研究力の強化による「知」の創造、教育・人材育成による新たな社会への対応の3つの柱をたてて、国民の安全・安心が確保された社会及び一人ひとりの多様な幸せが実現できる社会を目指すとされています。このために、Society 5.0の実現に向けて、サイバー空間とフィジカル空間の融合、レジリエントで安全・安心な社会の構築、スマートシティの展開、データ駆動型の研究等の推進などの科学技術・イノベーション政策を行うとされています。まさしく、本学会が対象としているシステム、制御、情報に密接に関連するテーマとなっています。

本学会はこれまで、システム、制御、情報の学術分野において、規模は大きくはありませんが、それを逆に生かして軽いフットワークにより時代を先取りした会誌特集号の編集や研究会の設置などの様々な試みを行ってきたと認識しております。しかしながら、多くの国内の学会が経験しているように、本学会も会員の高齢化と会員数の減少という課題を抱えており、歴代の学会執行部も様々にアクションをされてきましたが、若手技術者や技術者の卵にとっての魅力について向かい合う必要があることは事実であります。

以上の状況を踏まえて、学会運営におきましては、これまでの本学会の特長である「顔の見える学会」を継承しつつ、「システム、制御、情報の学術分野における研究者や技術者が育つ学会」として発展させるよう尽力していきたいと考えています。すなわち、昨今の閉塞感を打ち破れるように、学会事務局のご支援も得ながら、これまでの本学会の核となる特長を大事にしつつ様々なチャレンジをしていきたいと思っております。もちろん、様々なチャレンジは学会執行部のみでは出来ませんので、会員の皆様の斬新なアイデアのご提案や活動でのご協力をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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