会長挨拶

第61期会長就任にあたり

第61期会長 玉置 久

このたび、第61期会長を務めさせていただくことになりました。本学会との関係は大学院学生の時代にさかのぼり、当初は春の講演会で1年間の研究の進捗を発表することが学会活動のすべてでした。ただ、この毎年恒例ともいえる研究発表が陽に陰に大きな励みになっていたように思います。その後、インテリジェントFA 研究分科会委員をはじめ、SCI実行委員会委員、編集委員会委員、電子情報委員会委員、研究交流会幹事、庶務担当理事、編集担当理事・編集委員長などを経験し、2年前からは副会長として学会運営に携わって参りました。

ご承知の通り、本学会は1957年に「日本自動制御協会」としてスタートし、1988年に「システム制御情報学会」へと学会名が変更され現在に至っております。昨年2016年には、任意団体から一般社団法人への移行が完了しております。私が関わりをもたせてもらったのはシステム制御情報学会に名称変更されようとする時期で、本学会60年余りの歴史の中でもちょうど中間地点となります。この名称変更は、システム・制御の分野においても情報化・ディジタル化の波をきちんと捉え、これらを融合させる形での理論・方法論の強化・展開が不可欠であるとの見方に基づくものであったと聞いています。それから30年、IoT (Internet of Things) やCPS (Cyber-Physical System) などの情報関連技術の飛躍的な進歩を背景に、より巨大なシステム化の波が、学界・産業界のみならず、社会にも広く浸透・充溢しつつあります。まさにシステムの時代であり、要素技術・基盤技術の探求と並んで、これらを組み合わせてシステムを構築・運用することによる課題解決が不可避となっています。このような方向性は、科学技術基本計画や科学技術イノベーション総合戦略における「Society5.0」あるいは「超スマート社会」にも反映されており、さまざまな観点からシステム・制御の理論・方法論の重要性があらためて認識されているところです。日本自動制御協会の時代からの「制御」に加え、軸足を制御分野に置きながらも「システム」と「情報」という大きな流れを学会名に取り入れたことに象徴される本学会の方向付けは先見の明なればこそであり、当時の学会運営に携わっておられた諸先輩方には畏敬の念を抱かざるを得ません。このような諸先輩方の先見性を継承し、また一般社団法人化をも一つのアドバンテージとして、システムの時代にイニシアチブが発揮できるよう本学会の舵取りを進めていくことが重要かつ肝要かと考えています。学会長としての責任の重さにあらためて身の引き締まる思いがしております。

さて、学会の活動についてみますと、本学会のように、大学・高専や企業などの現場に近いところで地域に根ざした活動の展開を特徴とする場合、現場での人材養成を補完することが主たる活動テーマの一つに挙げられると思います。

研究者・技術者が集う場あるいは相互作用する場を提供し、オープンで形式に囚われない議論への参加を通して研究・技術開発へのフィードバックを得る機会を設けることが、とくに若手の研究者・技術者のレベルやモラルの向上への著しい貢献が期待されるところかと思われます。この点こそ、本学会が国際的に著名な学術団体やジャーナル・国際会議と趣を異にする最大のポイントであります。言い換えれば、このような活動こそが本学会に強く期待されているところであり、社会に対して本学会が果たすべき主要かつ特徴的な役割として位置付けられるものではないでしょうか。この意味でも、研究発表講演会や会誌・論文誌、各種セミナーなどを通じた交流の機会を大切にしていくべきであると考えています。もちろん、保守的・伝統的ともいえる取り組みによって本学会の文化を継承・熟成するだけでなく、高度に発展していく情報関連技術の活用などによる学会活動そのもののの進化、学会活動の成果・知見の効果的な発信など、学会のサービスやプレゼンスの向上、さらには社会貢献の充実を果たしていきたいと思っています。

このような期待に応えるべく、また役割を果たすためにも、まずは個々の特徴ある活動に加えて有意義なコラボレーションによる学会活動のさらなる活性化を推進したいと思っています。はなはだ綺麗ごとに過ぎる感は否めませんが、いい意味で学会活動が楽しくなるような取り組みができればと考えています。最後になりましたが、会員の皆様におかれましても、積極的なご支援・ご協力をお願い申し上げます。

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